地球深部探査船「ちきゅう」


DSC_0352んにちは神崎慎一郎です。

日本が世界誇れる。日本の秘密兵器とまで言われた。

地球深部探査船「ちきゅう」。

地球の質量の7割を占めるというマントル。

 このマントルを採取しようとするプロジェクト「マントルプロジェクト」。

この計画は10億ドル(約1130億円)の巨費を投じて進めてきたプロジェクトが始動して早10年。

 マントルと言う実はよくわかっていないものを実際に採取しようというものなのです。

こんな広大なプロジェクトの船が今清水港に停泊しているんです。

今回はこの船を見学させていただきました。

そのレポートです。

マントルについて

 惑星というのはさまざまな核があるが地球や火星金星などは金属核で、その核の大きさも様々だといわれています。

 

 地球の場合約50パーセントが核で中心部はソリッド・インナーコアと呼ばれていて、鉄とニッケルの固まりだといわれています。実際にはこれよりも重い重金属などは鉄と結びつきやすい性質があるためコアに溶け込んでいる可能性もあります。ウランなどの重金属は高い圧力が長い時間をかけて徐々に崩壊して鉛になってしまいます。

 このため地球内部にはこれらの崩壊熱も相乗して熱いのだといわれています。

その外側は外核と呼ばれています。リキッド・アウター・コアといいます。

 さらにその外側を「マントル」と呼ばれる層があります。

コアとマントル

 コアとマントルの大きな違いをわかりやすく言うと、地球の場合はコアは金属でできています。

一方マントルは主に岩石からできているという違いがあります。

 そしてさらに外側の岩石の部分が冷えて固まって私たちの住む「地殻」と呼ばれる大陸を形成しています。

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 この部はマントルと比べると極薄い層と言われますが、大陸部では3040㎞もあります。

地球の直径は約12000キロメートル、コアが約7000㎞もあります。

 コアの外側は液体の金属でコアの温度は太陽の表面温度(約5500度)とほぼ同じの5600度に達しており、この液体化した金属が流動することで誘導起電力が生じて核内に電気が流れて地磁気が生じていると考えられています 。地球はいわば生きているといっても過言ではなく、火星や金星ではこの磁場がないことから液化したコアが存在しないといわれています。

■「ちきゅう」の探査

 地球深部探査船「ちきゅう」はより地殻の比較的薄い海洋での掘削を目的としています。

海洋では平均で6㎞程度の厚さしかありません。

なぜ大陸地殻に比べ海洋地殻が薄いかというと、鍋の煮物を見ているとわかります。

例えばなべの汁がマントル、そこにできたアクが地殻だとします。

 鍋のアクは沸騰してくるとたくさん湧き出てきます。そして対流する汁によって一か所に集まってきます。 これが地球でいう地殻です。

 つまり地球の表面でできた岩石の固まりは長い年月をかけて地殻に集まり厚さを増していくということなんです。これの繰り返しで、地震が起きたりします。このことで大陸地殻は厚いのです。

 だから地質学的には海洋部分が新しく大陸部分は古いのです。

このため日本でも中央アルプスや南アルプスのような高山部分が昔は海だったなんて話になるのですね。(違う場合もありますが・・・)

  「ちきゅう」はこの地殻を約10㎞分掘削できる能力があります。単純計算で3000mの水深のある海上から6㎞海洋地殻を掘削しても約1㎞分マントルを掘削することができます。

 当初は10年でマントルに達する計画でしたが、10年たった今でも直接マントルを採取するに至っていません。しかし、事業展開するJAMSTECはあと5年を目標にマントル採取を行いたいと考えています。

 現在は集中的に、南海トラフの掘削をしていますが、実は近年の研究で、駿河トラフよりも南海や東南海の方が危険度増してきているといわれています。これら南海トラフでの掘削はアメリカの研究機関からも要請があり、何度も掘削して地質を調査したり地震計を仕掛けているのです。

地球の内部構造がよくわかったところで、どうしてマントル採取がそんなに重要なのかということです。

 実は海嶺などでは地殻を突き破り直接マントルが噴出している部分があるのですがそれらのサンプルでは用を足さないとのです。

 地球内部で起こっているこれらの運動を地球内部ダイナミクスと言います。マントルやコアが起こす対流などが表層に及ぼす影響を研究する学問で、生命他の誕生に関係するのがこのマントルかもしれないということなんです。

 生命誕生がこの対流するマントルの表層にある炭素と水が大きくかかわっているということが分かってきました。このため掘削によってマントルを直接採取するということはこれら炭素や水が直接作用されていない部分のサンプル採取不可欠tだということなのです。

 海嶺部ではこれらの物質に触れてしまうため、サンプルとしては不十分というわけです。

ではこれらの炭素と水が地球の循環システムに対してどのような影響を及ぼしているのか?

地球内部のダイナミクスの仕組みを理解してそのサンプルを直接採取することは、人間でいえば、血液を採取することと同じなのです。

 地球ダイナミクスという単純にマントル対流ということではなく、マントルとコアの両方含めた循環システムを解明することは単なる観測にとどまらず、循環システムそのものの解明につながると考えられています。

 これらの研究によりによってマントルの沈み込みで大陸プレートはどのように作用するのかを研究することによって、地震そのもののメカニズムに迫ることが可能となり、プレートの沈み込みで起こる巨大地震の発生プロセスにメスを入れる糸口になるかもしれないのです。

 したがってどのようにこのシステム内に炭素と水が供給されるにかという研究がこのマントル採取によってその謎の解明につながるのということなんです。また実際にマントルを採取できればマントルそのものの成分が明らかになり想像で話を進めてきた時よりもよりはるかに正確に地球の深部の構造に迫ることができるということなんです。

 ■地球深部探査船「ちきゅう」の内部

ではいよいよ「地球深部探査船ちきゅう」の構造に迫っていきましょう。

船の竣工は20057月、運用は2006年から行われています。

 この観測船は56000トンあり世界最大の深部掘削船です。世界で二番目に大きな船を保有しているのはアメリカで深海掘削船ジョイデス・リ・ソリューション号で18000トンなので「地球号」がいかに大きいかがわかりますよね。

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全長は210m、全幅38m、やぐらの先端部まで162mあります。

ちなみに昔の戦艦大和は全長263m、全幅38m、全高約50

なぜ戦艦大和を引き合いに出したかというとこの「ちきゅう」は大和と似通った船の大きさであり、また船底構造は普通の船と違い真っ平とまさに「戦艦大和」とよく似ているからなのです。

 当時、戦艦大和は船底を平らにすることで揺れにくいといわれていましたが、この「ちきゅう」も船底が真っ平で、おまけに舵(かじ)もスクリューもありません。あるのは「アジマススラスター」と呼ばれる10mほどもある360回転するプロペラを船底に6基装備、また船首にサイドスラスターを1基装備しています。このためスクリューを通す壁もないため水面を滑るように進みます。

 推進はアジマススラスターで行われ最大速力は12ノットとゆっくりです。

航行はすべてアジマススラスターで行いますがエンジンはなく、艦内にあるディーゼルエンジン6基で5000 kwを発電し行います。船には補助発電システムもありそのシステムを加えると7500kwと清水区全域の電力をカバーできるほど大きいのです。

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またアジマススラスターはDPS(ダイナミックポジショニングシステムシステム)と連動し、風、波、潮汐の大きさを計算し、掘削の支障になる船の揺れを制御している優れものなんです。

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船にはコンピュータが3基ありそれぞれ出し合った計算に基づき船の揺れや傑作状態などの計算予測をしていますが、このシステム、コンピュータによる多数決で次の行動を決めています。

これはまさにあの有名なテレビアニメ、「エバンゲリオン」で出てきたネルフのコンピュータ「マギ」と同じシステムなのが日本らしい。まるで生きている人間のようです。このシステムのおかげで船は微動だにしない。そう私たちが見学している間感じていた違和感はこのシステムが働いいたために11階に相当するブリッジにいても船特有の揺れを感じなかったのはこのシステムのおかげだったのです。それにしても驚くほど巨大な船のわりに全く揺れないのは驚く限りです。

船長さんに「全く揺れていませんね。」と言ったら「よく気づきましたね。」と先ほどの説明をしてくれました。

その割に小さな舵である。

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船のレーダーシステムです。

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発電システム制御パネル

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艦橋判景コクピットはまるで宇宙船のようである。

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噴出ガス警報システム 

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艦橋前部の巨大なヘリポート

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掘削部分入り口

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掘削作業に取り掛かると作業員は24時間、4交代で休みなく掘削を続け、約3週間で別の作業員と交代する。

艦内前部には研究棟があり、ビルにすると13階くらいの高さがある。研究員は掘削作業の期間約3か月から6か月間船に滞在して自分研究に没頭できるため、かなり多国籍の研究者が船に乗り込んでいる。

 このように大掛かりな研究施設をもつ船は世界にはこの「ちきゅう」しかない。また研究棟が船内にあるため掘削で取り込んだサンプルをいち早く研究室で分析できるのは研究者冥利に尽きる。艦内にはCTスキャン装置を装備していて人間ではなく、採取したサンプルを傷つけることなく輪切りにできる。

 

掘り出した岩石のサンプルは縦割りにして、片方は保存施設で永久保存をする。

「ちきゅう」は現在、南海トラフで懸念される巨大地震のプロセス解明に役立っている。

実際、東北震災時には八戸港で見学に来ていた子供たちを非難させ、わずか3か月という短期間に巨大地震の震源部の掘削に成功。今まで滑りにくいとされていた断層とは別にスキー場の雪原並みに滑りやすい新たな断層を発見サンプル採取に成功した。

 この震災ではプレートが約150mも移動したため、巨大な大津波が発生したとされる。  

こんな地球号を見ることができる私たちの静岡市ならではなので機会があったら見学をしてみたましょう。そんな静岡県静岡市の清水港はこの「ちきゅう」の母港だと皆さんは知っていましたか?

 

 

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